内分泌疾患
- この病気の確定診断には血清中のホルモン定量が必須です。
- ほとんどの症例は内科的な治療になります。
甲状腺機能低下症 HYPOTHYROIDISM
重要度:★★★
- 老齢犬にかなり多い病気。猫にもあります。
- 脱毛や減毛等皮膚の症状。
- 運動性(活動性)の低下、低体温(夏でも寒がる)や無気力、体重増加等
(=基礎代謝の低下)。
- これらは「年のせい」として見過ごされているのが多い。
甲状腺機能亢進症 HYPERTHYROIDISM
重要度:★
- 青年から中年の猫に多いが、老猫でもある。
- 体重減少、多飲多尿、心悸亢進(頻脈)、消化器症状、行動の変化(攻撃性の増加)等をおこし放置すれば死亡することが多い。
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症) CUSHING'S SYNDROME
重要度:★★★
- 多尿多飲(普通は多飲多尿と言いますが、病態として先に尿が出すぎてその結果、喉が渇いて飲水が多くなるので、多尿多飲の表現の方が適切かなと思います)、皮膚症状(薄い皮膚・脱毛・色素沈着・皮膚感染症・石灰化)、腹部膨満(太鼓腹)、骨格筋の萎縮等の諸症状
- 青~中年令に多い。
- 中枢性
下垂体の腫瘍や過形成で副腎皮質刺激ホルモンの分泌過多が原因で、副腎皮質から副腎皮質ホルモンが過剰に出て発症する。
犬猫とも90%以上がこちらのタイプ。
- 末梢性
下垂体に異常がなく、副腎皮質の腫瘍や過形成で副腎皮質ホルモンの分泌過多が原因で起こる。
- 医原性
皮膚病やかゆみ止めに使用される副腎皮質ホルモン(ステロイド)の乱用(高用量で長期間の使用)で起こる。
そのため外因性ステロイドの影響で副腎皮質は逆に萎縮している。
アジソン病(副腎皮質機能低下症) ADDISON'S DISEASE
重要度:★
- 犬ではしばしば認められるが猫ではきわめてまれ。
- 若年~壮年の雌犬で好発。
- 副腎皮質ホルモンの分泌不足により発症。
- 虚弱・体重減少・食欲不振・嘔吐・下痢・血便・多尿・乏尿・徐脈・低体温・振戦・痙攣等の症状。