がん
(重要度:★★★)
- がんは免疫不全に陥っている病気と言われています。
- 免疫抑制細胞が、がん細胞の周りに出来てバリアーの役目を果たし、T細胞が攻撃できないようにしています。
- がん細胞は、本来は悪玉なのに善玉の顔をして免疫細胞をだまし、攻撃から逃れる。
- 色んな原因や高齢のためリンパ球(免疫細胞)が減少する。
- がんの治療には三大療法と言って手術・薬物{従来の抗がん剤・分子標的治療薬(新しい薬で副作用が少ない)}・放射線が行われていますが、それぞれ一長一短があります。
- 従来の抗がん剤は強い免疫不全を起こす薬剤でかつ正常細胞も攻撃する(例えばハゲになる等=犬では全身が脱毛します)。
- 免疫不全になっている所へ免疫不全になる薬剤を使用すれば、自己の免疫力(自力)での治癒は期待できません(Wの免疫不全状態)。
- 従来の抗がん剤で一旦は小さくなっても、Wの免疫不全で“がん”はまた大きく成ります。従来の抗がん剤を定期的に投与する一つの原因です。
- 人では第4の治療法として、オプジーボに代表される免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)が発見され、今後は主力になりますが、なにぶん高額です。
- 残念ながら、動物用の免疫療法薬はまだありません。
- ただし、がんに直接効くわけではありませんが、免疫不全に陥らないようにする方法や免疫力をアップさせる方法(=免疫賦活剤)を利用する、プロトタイプの方法で対応しています。
- 放射線は毎回全身麻酔をかけないと照射できません。
そのため、頻回の照射は不可能です。 - 原発・転移とも生命を維持する臓器(肺・肝臓・膵臓等)のがんは当然のことながら死亡率が高い。
- 原発巣が生命を維持する臓器でない場合(乳がん・皮膚がん・睾丸のがん等)は早期の摘出手術が適応です。
- 転移性のがんは、播種とか星を散りばめたような状態になっているのがほとんどです。これは手術での完全な摘出は不可能です。
キーワード
播種(はしゅ)
- 種子をまくように散らばること
体表のがん(皮膚・皮下織・口唇) BODY SURFACE CANCER
- 見たり触ったりしてわかるがんなので早期発見されやすい。
乳がん・口唇や口腔のメラノーマ・皮膚がん
- これらのがんは早期発見されているのですが、「デキモン?そのうち治るだろう」とスルーされています。そのため早期治療がなされず、手遅れになっているのが現状です。
- 転移がなく、小さい間(初期がん)に摘出手術をすれば大部分の症例では遠隔転移や再発がなく一生を全うすることも可能です。
肥満細胞腫(重要度:★★)
- がん細胞が播種する率が非常に高い。
- そのため非常にやっかいながんで、皮膚以外にも起こります。
- 痒みが強いので副腎皮質ホルモン(ステロイド)を使用したら、一時的に痒みは取れて一見良くなったように見えますが、それで一巻の終わりです。治りません。
- 治療には動物用の分子標的治療薬ができています。
内臓のがん HYPERTHYROIDISM
重要度:★
- 発生する臓器によって症状はいろいろです。
- 人と比べてかなり進行した時期に受診することが多いので、治療しても効果が出るまでに死亡する例が多いし、予後は悪い。
- どの治療法が最適かの判断が必要。
- 老齢では治療しないことも一つの選択肢です。
- 動物の場合は、コスパと治療の適否の判断が重要となる。